尊陽寺は、日蓮宗の本法寺の中にある小さなお寺です。1575年に創立された歴史あるお寺ですが、長い間だれも住んでおらず、廃寺になりかけていました。そのお寺を平成19年に任された住職夫妻が、水子供養のお寺として再建されました。
その改装の時に、アーチストのmaisさんが「祈りの天井画」を描きました。maisさんは、音が色で見えるという特殊な能力を持つ人で、日本の古き良きモチーフ、花や神々、吉祥文様を現代風に描く人です。その天井画がぜひとも見たくて、紅葉の季節にやってきました。

京都駅からバスに乗り、「堀川寺ノ内」まで来ます。バスを降りて、北に少し歩くと「本法寺」があります。

「本法寺」自体も、歴史のある日蓮宗本山のお寺で、お庭が有名です。また、長谷川等伯の「佛涅槃図」もあります。

中に入り、紅葉を眺めながら裏手に進むとひっそりと「尊陽院」があります。

歴史ありそうな門に、現代アート風の灯籠?がぶら下がっています。

まっすぐ進んで中に入ると、まるでホテルのロビーのよう。

椅子に座れば坪庭が見えます。
拝観料は300円。靴を脱いで上がります。

入ってすぐの部屋に、目指す天井画が。
大きな蝶とたくさんの花のモチーフ。

色鮮やかな天井画は、今までの古いお寺にはないものですね。

とてもキレイです。カラフルだけど決してケバいわけではなく、落ち着いた感じ。おそらく年月と共に、しっくりしてくると思います。

ご本尊にもお参りしておきます。

隣の部屋はシンプルで、心落ち着きます。

柱にはほんものの清楚な花も。

狭いながらも、お庭も良い感じ。

まだ、ほとんど紅葉してないのが残念です。
などと見学していると、お寺の方(尼僧の理恵さんだと思います)が出てきて、天井画やお寺の説明をしてくれました。

天井画に描かれているのは、アサギマダラという蝶。アサギマダラは、信じられないほど長い距離を飛ぶので、羽はボロボロ。人間が、身体や心が傷つき、ボロボロなのと同じように。
アサギマダラは、そんな人の痛みや苦しみを優しく舞いながら救い上げ、花々と共に昇華へと導きます。

天井画のある隣の部屋、ご本尊をお祀りしている部屋の天井には、昔ながらの龍の絵。こちらは過去を表しています。
新しい天井画は未来。ワタシたちは、過去を後悔したり、未来を心配しても仕方ない。過去と未来の間である「今」を精一杯生きることで、アサギマダラが未来へと導いてくれる…という感じのお話をしてくれました。

現代風にカラフルですが、少しも違和感がありません。訪れているのも、若い人ばかり。古い中にも新しい風が感じられる、こんな天井画はとても新鮮で素晴らしいです。

ゆっくり鑑賞して、表に出ます。こちらは、水子供養のわらべ地蔵さんのお堂です。

前掛け地蔵というんですね。

このお堂も現代風です。
お地蔵さんの後ろに後光が差してます。お顔も優しいお地蔵さんです。

回りには、小さなお地蔵さんがたくさん(^-^)

お花もオモチャもいっぱい供えられてます。

小さなお地蔵さんが、とってもかわいらしい(^^)生まれてくることができなかった子供たちですね。
小さいけど、なんだかとっても温かいお寺でした。蝶のいるお寺、すてきな処でした。10年、20年後にも来てみたいお寺です。

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